今日からいよいよ代表質問の全文掲載と、答弁概要を掲載してまいります。
まずは、渋谷区の防災力についてです。
【下嶋みちおからの代表質問発言】
3月11日に発生した東日本大震災は想像を絶する被害をもたらし、一面、瓦礫の山と化した街、陸に打ち上げられた漁船など、あまりの犠牲の大きさに私は言葉を失いました。
今回の大震災を受けて、大手新聞社が同様の災害が大都会東京で発生したら、自治体は住民を守れるのかをテーマに、人口10万人以上の全国289区市を対象に実施した「自治体の災害対応力調査」を行いました。
その結果によると、総合評価で渋谷区は総合得点96.6点で1位となり、7つの全分野で最高ランクの「A+」を獲得しました。
地域防災計画の全面見直し、危険地域を示すハザードマップの全世帯への定期的配布、災害時の要援護者に対する全地域での情報収集・支援体制の確立など、全質問で満点に近い得点でした。
このことは、平素、区長が強く進めておられる、住宅の耐震化による災害に強いまちづくりや、コミュニティを維持することによる、地域での連携強化、さらには地域防災力の強化であり、また、災害時の安否確認、情報収集のための通信手段の多様化、避難所や備蓄の拡充による避難対策の強化などが、マスコミの調査によって高く評価されたものです。
共に区政を担うものとして誇らしく思うと同時に、防災力強化に更なる努力が必要であると思うところであります。
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そこで区長にお尋ねいたします。
渋谷駅前に建設中の「ヒカリエ」内に現在整備中の防災センターにおける防災情報システムについてであります。
このシステムは地域の被災情報、区民の安否情報を素早く、正しく、重複なく、漏らさず収集するとともに、高感度の高所カメラを設置して、発災直後から情報収集にあたり、火災、大規模倒壊、道路閉塞等の区内の状況を把握し、この情報を防災関係機関、自主防災組織に提供するとしております。
そこで、防災関係機関とはIT環境を利用したメールやデジタル化した無線で結び、ライフラインによる震災情報や停電情報、消防の火災対応状況、警察の道路交通情報など各機関の情報を収集し、区災害対策本部にて情報の一元化が図れる事になります。
他方、地域の担い手である自主防災組織とはどのよう手段を用いて情報の伝達、共有化を図っていかれるお考えかお尋ねいたします。
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次に災害時の要援護者の避難支援についてですが、
区は、平成18 年、渋谷区震災対策総合条例を改正し、高齢者や障害者等の震災発生時に特に配慮を必要とする災害時要援護者について、事前の体制整備や迅速かつ円滑な援護活動を行うため、本人の同意なくとも、災害時に個人情報を利用し、関係機関と情報を共有することを可能にいたしました。
渋谷区では、条例等の規定に基づいて「災害時要援護者名簿」を作成し 、自主防災組織、警察、消防、消防団、民生委員、さらには見守りサポート協力員に提供、共有することにより、要援護者の安否確認、救助、援護体制を整備しております。
名簿を受け取った自主防災組織では、発災時に即座に対応することができるよう、要援護者名簿の情報を地図に落とし、緊急時、災害時要援護者の住所を視覚で捉えられる地図を作成されるなど、先進的な取組みが進んでおられます。
さらには、防災システム導入時には、地図情報を最新のシステム上で活用し、迅速に情報共有を行う等、よりきめ細やかな情報の共有をすると伺っており、わが渋谷区の災害時要援護者対策が更に充実するものと期待しております。
そこで質問いたします。
名簿について、年1回更新しているとのことですが、この仕組みを、さらに実効性のあるものとするため、名簿の更新期間を短縮してはと考えますが、区長のご所見を伺います。
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次に、帰宅困難者対策ですが、
当区は平成21年に、「渋谷駅周辺帰宅困難者対策協議会」が結成され、区は協議会活動に対する支援を行うとともに、大学や大規模集客施設等に協力を求め、渋谷駅周辺の帰宅困難者支援施設を確保してきました。
3月11日の東日本大震災では、交通機関のマヒ、従業員や来街者が一斉に帰宅行動を開始したことなどにより、ターミナル駅や幹線道路沿いに多くの帰宅困難者がひしめきあうという状況となりました。
本区におきましては、発災直後から「渋谷駅周辺帰宅困難者対策協議会」の参加団体を中心に帰宅困難者への施設開放が行われ、区が把握しているだけで、約1万8千人の受け入れが行われました。
一方、小中学校など避難所に帰宅困難者を誘導した区では、その区の中でもその後、住民との混在による混乱など2次災害が拡大する恐れがあった。当日の対応が適切ではなかった。との反省もあると仄聞しております。
このことからも区民は小中学校等の避難所へ、帰宅困難者は一時受け入れ施設へと誘導する本区の対応を、高く評価いたします。
しかし、従業員などの一斉帰宅行動が混乱に拍車をかけてしまったことに加え、都指定の「帰宅支援ステーション」など支援施設があることを知らない人も多く、事前の情報提供不足など、対策が万全であるとは思えません。
そこで、区長にお尋ねいたします。
帰宅困難者問題は渋谷区だけが受入施設を増やしても解決する問題ではなく、広域的な対応が必要と考えます。
帰宅困難者解消の基本的考え方は、すぐに帰宅行動を開始しないことにあり、また、的確な情報の提供と誘導も必要です。
そのためには、民間事業者と連携した一斉帰宅行動の抑制、ならびに民間事業者における備蓄の確保、東京都、他の自治体と広域的な問題を共有し、しっかりと役割分担して対応していくことが必要と考えますが、区長のご所見を伺います。
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【渋谷区長からの答弁概要】
●質問1.整備中の防災センターは、情報の一元化を図るが、自主防災組織とは、どのような手段で情報の共有化を図るのか?
答弁:出張所等を情報受発信の基地とし、デジタル無線等様々な情報手段を講じる。
●質問2.災害時要援護者名簿の更新期間短縮を。
答弁:必要に応じ対応。
●質問3.帰宅困難者対策は都等と役割分担が必要。所見を。
答弁:都及び二十三区の連携・協働、企業等の協力のための努力をする。
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ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
今日はここまでにいたします。
次回は、放射線量調査に関する区の対応についてを掲載する予定です。