先週に引き続き、
渋谷区議会第三回定例会にて代表質問させていただいた、質問内容を全文掲載してまいります。
今日は、児童虐待についてです。
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【下嶋みちおからの代表質問発言】
幼い時に親から虐待を受けた、ある男性の話によれば、その残酷さを「心殺し」という言葉で表現されました。
本来、いつくしみ、守ってくれるはずの家族から受ける暴力やネグレクト…。
私は「心殺し」という言葉に児童虐待のむごさが凝縮されていると思わざるをえません。
厚生労働省によると、全国の児童相談所が平成22年度に受けた児童虐待の相談件数が、本年7月発表の速報値で5万5152件にのぼり、平成2年度の集計開始から20年連続で増加し、50倍以上に膨れ上がりました。
東日本大震災で集計できなかった宮城県、福島県、仙台市を除いた数字ですが、5万件を超えたのは今回が初めてで、過去最多を更新しました。
数字を見ると、単純に児童虐待が急増したように見えますが、厚労省も言うように、虐待事件が各地で大きく報じられ、市民の危機意識が高まり、相談件数の増加につながった側面もあるのではないでしょうか。
昨年7月、大阪市のマンションで母親から置き去りにされた3歳と1歳の姉弟が死亡した事件は記憶に新しいものであります。
児童養護の専門家は「件数の増減に一喜一憂するのでなく、どう対応するかに主眼を置いて支援態勢を強化する方が重要だ」と言います。
まさに、その通りだと思います。
児童福祉法の改正で、児童相談所による強制立ち入り調査が導入されたほか、今春の民法改正により、来年4月には親権の最長2年間停止が可能になりました。
こうした強制的な親子分離策によって、虐待を防止するための制度は整いつつあると考えます。
一方で、児童相談所などの児童福祉施設が、増える相談の対応に追われ、きめ細かくケアができない現実もあります。
全国の児童福祉司は10年度までの10年間で1・8倍に増えましたが、虐待対応件数はそれを上回る3・1倍の増加です。すべてを都道府県や政令市が持つ児童相談所などに頼るのは、物理的にも限界といえます。
そこで、子どもとその家庭に身近な自治体の役割が、従来に増して大きくなって来ています。
翻って、当区の児童虐待にたいする施策はその予防が大切であるとの認識から、虐待予防につながる子育て支援施策に積極的に取り組んでおられます。
親の子育ての不安やストレスを軽減するために、区内七カ所の子育て支援センターにおける育児相談や親同士の交流に力を入れるとともに、保育園における一時保育や出産後の手助けが必要な方に対する育児支援ヘルパー派遣、保護者の病気などのときに子どもをお預かりする子どもショートステイなど、様々な子育て支援施策を総合的に展開することにより虐待予防につなげているところは高く評価できるところであります。
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そこで区長に伺います。
虐待の発見や予防には、孤立する親たちのもとへ求められなくても出向くいわゆる「おせっかい型」の支援が有効と云われております。
育児ストレス、産後うつ病、育児ノイローゼ等の問題によって、子育てに対して不安や孤立感等を抱える家庭や、様々な原因で養育支援が必要となっている家庭に対して、子育て経験者等による育児・家事の援助又は保健師等による具体的な養育に関する指導助言等、各家庭に対して戸別訪問をすることにより、個々の家庭の抱える養育上の諸問題の解決、軽減を図るという、「養育支援訪問事業」の拡充を検討すべきと思いますが、御所見を伺います。
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また、この児童虐待は非常にデリケート且、専門性の高い問題でもあります。
当区においては担当専門職を置くべきと考えますが、区長のお考えをお聞かせ下さい。
又、我が会派が取り上げてまいりました、児童相談所の都からの事務移管につきまして、法改正やあるいは財源、児童福祉士等の人材確保の課題が山積していることは承知しておりますが、移管の時期を含め、区長の事務移管に対するお考えを今一度お尋ねいたします。
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【渋谷区長からの答弁】
●質問1.支援が必要な家庭に、戸別訪問により問題解決等を図る養育支援訪問事業の拡充を。
答弁: 乳児家庭全戸訪問事業を実施し、専門機関と連携し支援を行っている。また関係機関からの情報に基づき養育支援訪問事業を実施。今後も子育て不安を持つ家庭の把握と支援に努める。
●質問2.区に専門職を置くべき。
答弁:区で活用できる福祉関係職員等で職種的な補強を図り対応する。
●質問3.児童相談所の事務移管について、時期を含め区長の所見を。
答弁:早急な事務移管が必要。23区連携して対応していく。
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ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
今日はここまでといたします。
次回は、分煙についてです。