私のライフワークであります商店街活性化活動について、どのようなことを考え、どのようなことを実施してきたかを概要をまとめました。
ぜひご覧いただき、笹塚・幡ヶ谷の商店街活性化、地域活性化にご協力いただければ幸いです。
最下行には、公職履歴を年次でまとめてあります。
よろしくお願いいたします。
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街づくりに関わりはじめる
笹塚の十号通り商店街の中にある家業のお茶屋「南山園」を継ぎ、商店街活動になれてきた頃、笹塚駅ホームの高架化プロジェクトに関わりはじめました。
1970年代後半のことですから、昔の笹塚駅をご存じない方も多いと思いますが、昔の笹塚駅は改札もホームも路面(1階)にあったのです。
笹塚駅ホームの高架化を含めた駅周辺の整備・開発をしようという大規模プロジェクトです。
私は、笹塚の十号通り商店街の理事という立場で関わらせていただきました。
まだ若く活動歴も浅かったので大したことはしておりませんが、このプロジェクトで多くのことを学びました。
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駅周辺の大規模な整備・開発は、地元住民の生活に直結した影響の大きいことですから、事業主の京王電鉄さんだけで進めるのではなく、渋谷区や地元商店街、地元住民代表も事業に関わるのです。
どのような駅だと住民が使いやすいか?
トイレは?
エスカレーターは?
どんなお店が入るのか?
・・・など多くのことを、地元商店街や住民からも意見を聞き、協議してコンセンサス(同意)を得ながら進めます。
笹塚駅ホームの高架化でできたスペースに入る商業施設(お店)の割合も協議して決まるのです。
このときは、3分の1を笹塚の地元のお店で、3分の1を京王電鉄グループのお店で、残り3分の1を外部のお店で構成することになりました。
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街の整備・開発事業は長い期間がかかりますから、地元住民のみなさんにご不便をかけることになります。
事前に工事内容の説明会を開いたり、ご心配ごとの質疑応答などをして、街の発展のためのご協力をいただくようにお願いをして工事がはじまります。
私は会社員時代に総合建設業の(株)大林組で働いていましたので、「都市計画」や「街づくり」というものの概要を知ってはいましたが、このプロジェクトに当事者として関わって、さらに詳細な部分を体験することができました。
主体事業者、地元商店街、地元住民、それぞれに希望や思惑が微妙に違いがあるのが当然ですから、それらをうまく調節して、みんなが努力してはじめて住みやすい街づくりができるのだということを経験することができました。
地域における商店街の役割とは
26歳で商店街活動に関わりはじめ、笹塚十号通り商店街の理事になり、販促活動だけでなく街づくりにも関わらせていただき十年が過ぎた頃から、地域における商店街の役割を強く意識するようになりました。
小売店、飲食店、サービス業などのお店が軒を連ねる商店街は、商業者の集まりではありますが、それだけに留まらず、地域・街における重要な役割も果たしていることを認識しました。
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商店街では、商業的な販促活動以外にも、次のようなことを渋谷区行政からの要請や、地元町会などと共同で日頃から行っています。
<街の美化活動>
渋谷区では「まちづくり美化推進協議会」を町会、商店街、住民のみなさんで構成しており、月に一度、美化活動日を定め、みんなで一緒に街じゅうの歩道、公園などのゴミ広いや掃除を行っています。
歩道や公園がゴミであふれたり、トイレが汚れっぱなしになると、汚れていることが当たり前になり、ゴミのポイ捨てや自分勝手な行動を助長するので、常にきれいな状態を保つことは、街や地域にとってとても大切なことなのです。
<防犯活動・治安維持>
駅から住宅街までの間にある商店街の街路灯は、他の歩道よりも多く設置し明るく照らすようにして、夜遅い時間でも安心して歩けるようにしています。
商店街の中の街路灯の電気代は、一部、商店街が負担して明るい商店街を維持しています。
また、歩道も明るく舗装し、飾り付けもして明るい街の雰囲気作りをしています。
街の雰囲気が明るいこと、夜でも安心して歩けることは、街の治安維持にとても大切です。
<コミュニティの形成>
地元住民のみなさんに楽しんでいただけるように、各商店街で趣向を凝らした夏祭りを開催しています。
子供の頃の夏祭りの想い出が、地域への愛着につながります。
お祭り以外にも様々なイベントを催し、住民のみなさんと店主が、顔と名前がわかる関係ができるようになることはとても大切で、大きな災害・震災があったときのリーダーシップ的役割を担えることに繋がります。
<困ったときの安心感>
駅から続く道に商店街があり、1階店舗(路面店)がいつも開いている状態であることは、地元住民にとって、非常事態になったときに駆け込める存在があるということです。
地震など大きな震災があったとき、商店街コミュニティがあるのとないのとでは、地元住民のみなさんの安心感はかなり違うものになると思います。
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このように地域・街における商店街の役割はとても重要なのですが、商店街の活動は残念ながら年々衰退化しています。
昔は、商店街加盟店のほとんどが地元経営者のお店で構成されていましたので、各店から一人ずつは商店街活動に参加してもらうことができ、活動員に不足はありませんでした。
しかし時代は変わり、生鮮食料品店が大規模スーパーに変わり、日用品店や薬局がドラッグストア・チェーン店に変わりました。
電気店、米屋、酒屋などもめっきり減り、24時間営業のコンビニエンスストアが増えました。
地元のお店の後継者不足問題も重なり、大規模チェーン店がどんどん増え、商店街加盟店の地元割合が減っていきました。
チェーン店は商店街活動にはほとんど参加してもらえませんので、商店街活動に参加・協力できる人員が大幅に減少しています。
商店街は非常に厳しい局面に立たされているのですが、自分たちのできることはがんばってやっていこうと思い、十号通り商店街の理事長に就任させていただき、協力してくれる仲間と精一杯やってまいりました。
私たちが中心となって進めてきた商店街活動事例を、一部ご紹介させていただきます。
いま思い出すと懐かしい活動の数々ですが、当時のことを振り返ることは、今後の活動に活かせることですので大切なことですね。
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笹塚・幡ヶ谷・西原10商店街で情報発信を。ホームページ開設
1998年のこと、パソコンのOS、Windows98が爆発的にヒットして、ご家庭や個人にもパソコンが行き渡りはじめようとしていました。
その反面、新聞の購読率は全世帯の15%ぐらいに落ち込んでいました。
ということは、商店街で毎月発行している新聞折り込みチラシが、最大でも全世帯の4分の1にしか届いていないということがわかりました。
パソコンの普及に伴いインターネットの普及率が10%を超えたことを知ったとき、これは今後あっという間に普及すると感じました。
しかし、商店街のお店には、パソコンやインターネットはまだほとんど普及しておらず、お店各々が情報発信したいと思ってもできない状況でした。
そこで、商店街がお店に代わって、お店や商店街の情報をインターネット・ホームページを使って積極的に発信してはどうかと考えたのです。
しかし、色々な課題がありスンナリとは進みませんでした。
まず、情報の網羅範囲です。
十号通り商店街だけのホームページを作ったとして、地元のみなさんに本当に役立つものになるかという点です。
ご利用いただけるホームページにするためには、地元のみなさんが必要としている情報を把握して、それらがしっかり掲載されているホームページを作る必要があります。
次に、商店街組合員にはインターネットの理解がほとんどなく、事業のコンセンサス(合意)を得ることが大きな課題でした。
さらに費用の問題もあります。
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難しい課題を目の前にして頭を抱えましたが、個々のお店では難しいことを商店街が実施することで実現可能になるのなら、それこそが商店街活動の意義だと思うので、簡単には諦めきれません。
課題に次のような対策をとり、実現に向け取り組みました。
(1)地域情報の網羅範囲
商店街のホームページを作っても見てもらえなければ意味がありません。
地元のみなさんに役立ち、見てもらうものにするには、どのような情報にニーズがあるかを考えました。
十号通り商店街だけのホームページにするのではなく、笹塚に隣接する幡ヶ谷、西原の商店街にも加わってもらって、商店街の枠を越え、地域の情報を網羅したホームページにしようと考えました。
渋谷区内の商店街が属している「渋谷区商店街連合会」という団体では、地域ごとに商店街をブロック分けしていて、「幡ヶ谷・笹塚ブロック」として以下の10商店街が束ねられており、日頃から役員同士が顔を合わせる土壌がありました。
笹塚駅周辺の7商店街
・笹塚十号坂商店街
・十号通り商店街
・笹塚大通り商店街
・笹塚ショッピングモール21
・京王クラウン街笹塚
・フレンテ笹塚(開設当時は京王笹塚ショッピングセンター)
・笹塚観音通り商店街
幡ヶ谷駅周辺の3商店街
・幡ヶ谷六号通り商店街
・幡ヶ谷商店街
・西原商店街
この「幡ヶ谷・笹塚ブロック」の10商店街が合同でホームページを作ることができれば、笹塚駅の周辺の7商店街、幡ヶ谷駅の周辺の3商店街という広い範囲の地域情報を網羅することができますので、笹塚駅と幡ヶ谷駅の周辺住民の生活圏情報を網羅することができ、ちょうどいい範囲でもあると考えました。
(2)インターネットと商店街に関する研究会を立ち上げ
インターネットやホームページに関する理解を深めるために、10商店街から1人ずつITに比較的詳しい若手の担当を選出してもらい、10商店街合同のIT研究会を立ち上げました。
月に1回程度集まり、他地域の商店街がどのようにインターネット活用をしているかを調べ研究したり、ECでの成功事例から学んだりして、幡ヶ谷・笹塚ブロックのホームページにはどのような地域情報が必要かを検討しました。
商店街のホームページではありますが、地元のみなさんに愛着を持ってもらい、いつでも便利に使ってもらえるようにするには、主に次のような情報が必要だと意見が一致しました。
・10商店街の加盟店、約700店舗の詳しい情報
(特に大切なのは「人」。店主の紹介をする。)
・約700店舗を業種別、店名別にカテゴリ分けした情報
・地域内の詳しい地図
・商店街のイベント情報
・地域内の公共情報(区の出張所、保健所、保育園、幼稚園、小中学校、図書館、スポーツ施設など)をすべて網羅
・住民のみなさんのコミュニティ掲示板
今は、地域内の公共情報などは、渋谷区のホームページで詳しく知ることができますし、お店の詳しい情報も、詳しい地図も、インターネットで手軽に調べ知ることができますが、1998年当時はスマートフォンはおろか、渋谷区のホームページでも掲載されていない時代でした。
また、プロジェクトを成功させるための必要要件もまとめ、各商店街の理事会(役員会)で報告して、10商店街の理事のみなさんにも少しずつ時間をかけて理解を深めてもらいました。
(3)10商店街で勉強会を開催
約700店舗の組合店を対象に、実際にインターネットを身近に感じてもらう勉強会を何度も開催しました。
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このような活動を1年半続け、10商店街合同の地域情報サイト「ささはたドッとこむ」が1999年10月に開設できました。
http://www.sasahata.com/
開設後は、地域住民のみなさんに大変ご好評をいただき、アクセス数も多くいただきました。
数多くのメディアに取り上げられたり、商店街のIT活用成功事例として全国の商工団体の視察依頼も数多くいただきました。
10商店街が合同で地域情報サイトを開設・運営するという希少性もあり、2004年には日本経済新聞社主催の地域情報化大賞・日経MJ賞を受賞させていただきました。
↑2004年 日経地域情報化大賞の授賞式
式典司会のテレビ東京アナウンサー森本さんと
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今は会社やお店、商店街でもホームページがあるのは当然のことで、わからないことはインターネットで調べるのが当たり前になっていますが、1999年当時は、そのような便利な情報・ツールはなかったので、
商店街の情報、お店の情報、地域の情報をお客様に届け、地元のお客様にもホームページを通して地域に愛着をもっていただくという役割が果たせたのではないかと思っています。
「ささはたドッとこむ」は開設から20年が経過し、
開設当初とは役割が変わってきておりますが、今でも運営が続いております。
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高齢者にやさしい商店街づくり
2002年(平成14年)~
この頃、ニュース報道で「65歳以上が全人口の4分の1を占めるようになるのはもうすぐである」と盛んに言われるようになりました。(現在はもうそれ以上になっていますが)
そこで笹塚十号通り商店街では、高齢者にやさしい商店街づくりを目的として、「おもいやり手形」事業に取り組みはじめました。
「おもいやり手形」というライフカードを作って、65歳以上のお客様に無料で配布して持っていただくものです。
「おもいやり手形」には、お買い物途中で体調が悪くなったときなどの連絡先や、かかりつけ医、持病、血液型などを記入しておいていただきます。
このカードを常に携帯していただければ、万一、笹塚十号通り商店街の中でお買い物途中で体調が悪くなられたり倒れられたりしても、お店の者が救急連絡などを速やかにできるという仕組みです。
お買い物の際に「おもいやり手形」をお店に提示すると、各々のお店で特典を受けられるようにもなっています。
また、「おもいやり手形」を持っておられるお客様には雨の日の置き傘貸出や、限定の商店街イベントなども開催しており、商店街にお客様を誘引する仕掛けにもなっています。
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笹塚・幡ヶ谷・西原の10商店街ブロックイベント開催
2004年(平成16年)~
ホームページ「ささはたドッとこむ」の5周年記念を機に、10商店街でリアルな合同イベント「ささはた感謝祭」(当時のイベント名は、ささはた商店街まつり)も開催するようになりました。
「ささはた感謝祭」では、各商店街を周遊してもらうことを目的としたキーワード探しや、地域情報冊子の発行、各商店街での同時開催セールなどを開催しています。
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防犯カメラ設置:安心して歩ける商店街に
2000年代前半頃から、都内中心部のみならず、笹塚や幡ヶ谷近辺でも空き巣や通りがかりの暴行事件が起きるなど、治安の悪化が目に付くようになりました。
笹塚十号通り商店街では、「安心して歩ける商店街に」という方針で、商店街内に防犯カメラを設置することを協議しはじめたのですが、この事業も色々と問題がありスンナリとは決まりませんでした。
まず費用の問題です。
渋谷区内の商店街ではまだ防犯カメラを設置しているところはなく、渋谷区からの補助金制度も整っていなかったので、費用の全額を商店街の自己負担で設置しなければいけないということがわかりました。
次に個人情報・プライバシー問題です。
当時は、防犯カメラで商店街の中の様子を撮影すると、個人の生活が赤裸々になりプライバシーの侵害であると反対意見を上げる人が大勢いました。
今は、商店街内に防犯カメラを設置することを問題にする方はいないと思いますが、当時は「防犯カメラを設置すると街のイメージを損なう」という意見も多かったのです。
時代の変化ですね。
反対意見が多く、非常に苦慮したのですが、「子供の安全、街の防犯」よりも優先するものがあるのか?という論点で協議して、
結果、二百数十万円の費用はかかりましたが、2005年(平成17年)、他の商店街に先駆けて設置することを決めました。
笹塚十号通り商店街が防犯カメラを設置したことを皮切りに、渋谷区内の他の商店街でも次々と設置を検討するところが出てきて、渋谷区からの補助金制度も整っていきました。
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商店街活動から地域活動へ。区政に出る決意を
他にも様々な商店街活動を行ってまいりましたが、十号通り商店街の理事長として常に考えていたことがあります。
商店街活動の一番の目的は、加盟商店の売上げが上がることですが、そのためにはお客様に商店街にお越しいただかなくてはなりません。
つまり、次のような好循環をいかに生むかが大切だと考えて、商店街活動を行ってまいりました。
お客様を商店街に集客する
↓↓↓
お店の売上げが上がる
↓↓↓
お店のモチベーションが上がる
↓↓↓
経済活動・商店街活動に積極的になる
↓↓↓
住みやすい街、地域になる
↓↓↓
住民が増える
このような好循環を生むために、一生懸命に商店街活動・地域活性化活動を行ってまいりましたが、商店街活動だけでは限界も感じておりました。
商店街のライバルは、昔はスーパーでした。
その次は大規模チェーン店、コンビニエンスストア。
今はネット通販と変わってきています。
リアルな集客を商店街でがんばっても限界があります。
各個店の売上アップに、商店街として関わるにも限界があります。
笹塚・幡ヶ谷地域が、今後も安心して住み続けられる街であり続けるには、商店街活動だけではなく、もっと大きな視野で地域活性化を考え実施していかなければいけないと考えるようになりました。
2007年、ちょうど自分が55才を迎えたとき、統一地方選挙の機会があり、応援のお声もいただきましたので、笹塚・幡ヶ谷住民の代表のつもりで区政に出させていただくことを決意した次第です。
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下嶋みちお 公職履歴
1977年~ 笹塚 十号通り商店街に店を構える茶処「南山園」にて、様々な商店街活動・地域活性化活動に取り組む。
1979年 十号通り商店街振興組合 理事就任
1989年 十号通り商店街振興組合 青年会 会長就任
1994年 京王クラウン街笹塚商店会 会長就任
1999年 ささはたドッとこむ実行委員会 実行委員長就任
1999年 渋谷区商店会連合会 笹塚・幡ヶ谷ブロック長就任
2001年 渋谷区商店会連合会 副会長就任
2002年 十号通り商店街振興組合 理事長就任
2006年 渋谷区特定商業施設立地調整審議会委員 就任
2007年 渋谷区区議会議員に初当選
2008年 渋谷区議会 平成19年度 決算特別委員会副委員長
2009年 渋谷区議会 文教委員会 副委員長
2011年 渋谷区区議会議員選挙 2期目の当選
自民党渋谷区議団 副幹事長・政調会長
渋谷区議会 文教委員会 副委員長 再任
2013年 渋谷区議会 総務区民委員会 委員長
自民党渋谷総支部 政調会長
2015年 渋谷区区議会議員選挙 3期目の当選
2015年 自民党渋谷区議団 幹事長
渋谷区議会 議会運営委員会 委員長
2016年 自民党渋谷総支部 総務会長
2017年 庁舎問題特別委員会 委員長
2019年 渋谷区区議会議員選挙 4期目の当選
2019年 渋谷区議会 議長就任
【その他】
・十号通り商店街振興組合 理事
・笹塚・幡ヶ谷・西原10商店街合同HP 「ささはたドッとこむ」 実行委員長
・保護司